「英語を学ぶすべての人へ」 > 日本人の英語の発音を良くするには? |
3. どうすれば日本人の発音はよくなるか 1.1. その他 以上単語レベルと文レベルでの発音をよくするにはどうしたらいいかをまとめた。しかし、インフォーマントの述べてくれたアドヴァイスの中にはそのいずれにも属さない、と考えられるものもあったので、ここではそれらをまとめて紹介したい。また、私の朗読に対しての彼らのコメントも一般化して多くの人に当てはめられるものがある、と判断したため、ここで紹介したい。今まで同様、( )内にはそれを指摘してくれたインフォーマントの名前を記しておいた。 1.1.1. 急ぎすぎてはいけない (メリッサ、トッド) ネイティブ・スピーカーはノン・ネイティブに比べ非常に早口でしゃべる、との印象を我々は受けがちである。そして、native-likeに話そうとして、つい早口になってしまう、ということは珍しくない。しかし、メリッサとトッドはこれらの傾向が逆に我々の英語を聞き取りにくくしている、との見解を述べてくれた。たとえばトッドは、" When people are not understood that is because they are hurrying. "と指摘し、またメリッサは、"Don't worry about going too fast. Sometimes it is difficult to understand non-native speakers because they try to speak quickly. You can be more slow and steady. To speak clearly is more important than to speak quickly."と、「早くしゃべるよりもはっきりとしゃべるほうが重要である」と指摘してくれた。自分の発音にある程度自信が出てくる中級者・上級者ほどnative-likeにしようとして早口になってしまう傾向があると考えられる。そのような英語学習者にとって、このアドヴァイスは常に心にとめておく必要があるものであろう。 1.1.2. 極端な省略形は使うべきではない (トッド) また、上記の項目と多少似ているが、中級者・上級者ほど自然な発話をしようと思うがゆえに、"gonna"や"wanna"などの省略形を使うことが考えられる。この傾向に対しても、トッドは、"You should not use the construction like 'gonna' or 'wanna.' It is very hard for non-native speakers to use them naturally."と指摘し、そのような努力が逆に我々の英語を聞き取りにくくしている可能性がある、ということを教えてくれた。海外に長く滞在しこれらの省略形を十分自然に使うことができる、という自信がない限りこれらの省略形も使うべきではない、ということであろう。あまり一般的でない非文法的な構文やスラングなどについても同様のことが言えると考えられる。 1.1.3. LとRの違いよりも、強勢の間違いのほうが誤解を呼びがちである(トッド) 単語レベルでの音素の発音練習は実用的ではなく、聞き取りやすさにそれほど影響を与えない、という立場をとるトッドは、"Even things like R and L, most time people understand from context. It is very rare that it causes a misunderstanding. Stress on the wrong part of the word can cause a misunderstanding."との意見を述べてくれた。つまり、たとえば「L」や「R」をきちんと言い分けられないとしても、コンテクストによりどちらを言わんとしているのかが明らかな場合があるのでたいした問題にはならないが、強勢(アクセント)を間違って発音された単語のほうが理解されないことが多い、ということである。 1.1.4. その言語が話されている地域で生活するのはいい考えだ (トッド) さらにトッドは、発音をよくする方法について、"Exposure to the native speakers. In my case, it helped the confidence when I knew the native speakers could understand what I said."と述べ、その言語が話されている地域で生活することは発音の習得の向上に役立つ、との意見を述べてくれた。彼自身英語に加えてスペイン語と日本語を話すが、ともにメキシコや日本で長期間住んでもいる。それらの経験を踏まえ、このような意見を述べてくれたのであろう。ただし、外国語が話されている地域で生活するにはそれなりの金銭的な負担もかかると考えられるため、あまり実用的な方法とは言えないかもしれない。 1.1.5. 遠慮せずに自分がネイティブであるかのように振舞いなさい (スコット) 著者が「Road Rage」と「Teen Gambling」の朗読をするのをきき、スコットは、" You don’t sound afraid. But it still sound like yon are holding back. Try to pretend that you are a native speaker. Visualize yourself as a native speaker."とのアドヴァイスを述べてくれた。子供のうちはまだしも、ある程度年をとると外国語をしゃべることにある種の恥じらいを感じ、つい自信なさげに小声でぼそぼそといってしまいがちである。しかし、いくら発音をよくしようと努力しても、そのような自信のない態度ではこちらの真意は伝わらないであろう。逆にいえば、発音に自信がなくてもネイティブ・スピーカーであるかのように自信を持って振舞えば、少々発音が悪くても自分の真意は伝わるものなのである。 1.1.6. 外国語をしゃべるときには、性格までも変えるべきだ (スコット) また、上記のことと少し関連しているが、スコットは、"When speaking a foreign language, your personality should change."と指摘した。そして、彼は彼の友達の韓国語と日本語と英語を話す韓国人の話をしてくれた。彼によると、日本語を話すときには彼は幾分おとなしく礼儀正しい感じなのに、英語を話すときには一転してout-goingな性格になるという。しかし、著者の朗読を聞いたスコットの感想は、"Your personality doesn’t change like the Korean."とのことであった。 1.1.7. 私には判っても、すべてのネイティブが理解できるとは限らない (メリッサ) 最後に、何かコメントがあったら言ってくださいとの問いに、メリッサは、"You have to remember that my experience of hearing non-native speakers speaking English makes it easier for me to understand what you say."と答えてくれた。つまり、発音を練習していくら日本にいる外人に英語が通じるようになっても、日本を出てまったくノン・ネイティブ・スピーカーと接したことのないネイティブにその英語が通じるとは限らない、ということであろう。特に、彼女は英語教師であるから聞き取りにくい英語でも熱心に聞こうとしてくれるが、たとえば人々があくせくしている大都市ではノン・ネイティブ・スピーカーの言うことにゆっくり耳を傾けてくれるような寛大な人は少ないかもしれない、とも指摘してくれた。 |
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