「英語を学ぶすべての人へ」 > 日本人の英語の発音を良くするには? |
3. どうすれば日本人の発音はよくなるか1.1. 文レベル それでは、次に文レベルでの発音をよくするためにはどうしたらいいか、という指摘に移りたい。前述したように私はインフォーマントの前で「Road Rage」と「Teen Gambling」という2つのダイアログを読んだのだが、それで指摘してもらった箇所にはこの文レベルのプロソディ的なものも多かった。実例とともに挙げたほうが判りやすいと思うので、可能な限り私が朗読をしていた実際に指摘された箇所を実例として沿えながら紹介したい。( )内にはそれを指摘してくれたインフォーマントの名前を記しておいた。 1.1.1. リズム (トッド) 英語のリズムについてたとえばトッドは、"Rhythms are completely different from Japanese. They are more complicated while those of Japanese are smoother."と述べた。彼の授業を私は以前にとったころがあるのだが、そのとき彼は日本語が"syllable-stressed"なリズムであるのに対し、英語が"rhythm-stressed"なリズムである、と教えてくれた。日本語が1つ1つの音節の長さがほぼ一定であるのに対し、英語では音節の長さはバラバラで、一定なのは強勢と強勢の間隔である、というのがその趣旨であった。今回の英語のほうがリズムが複雑であるが、日本語のリズムはよりスムーズである、というのはそのことをさしているものと思われる。 1.1.2. 強調 (スコット) スコットからは以下の4つの文で強調(emphasis)に気をつけるように、との指摘を受けた。それらは、 @ a tough love lesson スコットによると、"Each word should be emphasized because it is a somewhat idiomatic phrase."とのことで、もっと強く言うべきである、とのことであった。 A I've agreed to cover the other half. この文に対して、"The boys are paying half." という文がある。ゆえに、 私は半分を払う。 子供たちは半分を払う。 という2つの文が並列関係にあるのである。ゆえに、"I've agreed to cover the other half. "の"I've"は他人と自分とを区別を表すために特に強調するように、と言われた。スコットはこれを日本語の"Comparative 「は」"のようなもの、と言っていた。 B That does sound tough Lou. 「本当にきついですね」という意味がこめられているので、"does"を強調するように言われた。 C You really are on the warpath. これも上のように「本当に怒っているのですね」という意味が強められているので、"are"を強調するように言われた。 以上である。 1.1.3. イントネーション (スコット) スコットから以下の文について、イントネーションに気をつけるように、との指摘を受けた。それは、 Bail the kids out by taking a second mortgage on your house? の文である。はじめ私は、 Bail the kids out by taking a second mortgage on your house↑? のように最後まで平坦に読み、最後の"house"で上がり調子にしていた。スコットはそうではなく、 Bail the kids out↑ by taking a second mortgage↑ on your house↑? というように3箇所でイントネーションを変えるように、との指摘を受けた。 1.1.4. リンキング (スコット) 英語では子音で終わる語の後に母音がきていると、語末の子音と語頭の母音がくっつき、あたかもひとつの語のようになることがある。それがこのリンキングであるが、スコットには以下のリンキングを指摘された。 @ kids/out A half/the debts B Will/it の3箇所である。 1.1.5. ピッチ・レンジ (スコット) スコットによると、"In Japanese, we use narrower range of pitches. In English, perhaps larger range. Take the voice up higher and take the voice down lower."とのことであった。具体的に指摘されたのは、 @/Lou my boy…lesson/ これは、"Set off from other sentences because he recalls his thought."とのことであった。そして、これが独り言であることを示すために、 1, put a space 2, slow down the pace 3, change the tone of the voice という3つの方法で表すのだ、と言われた。最後の声のトーンを変える、というのがこのピッチ・レンジの意味するところのようだ。 A “house arrest” この単語についても、"It is quoted because they are not really arrested. So you have to set off."と言われ、 1, put a space 2, slow down the pace 3, change the tone of the voice という3つの事をするのが必要だといわれた。 B Both boys will be combining part-time work to pay off half the debts, along with a stiff dose of community service. この文については、"Structurally, you've got two parts."つまり、 The boys are combining 1, part time work 2, a stiff dose of community service という2つの部分に分かれる、と指摘された。そして、1の"part time work"と2の"a stiff dose of community service"はいわば並列しているわけだから、"Pitch those around the same place."つまり、声の高さを同トッドうにするように、との指摘を受けた。 1.1.6. ウィークニング (スコット) 最後がこのウィークニングである。ウィークニングとは、tやdなどの子音で終わっているときに、語尾を破裂させずに、はっきり発音しなくなる現象のことである。スコットには、 suit jacket の"T of the jacket should be left out."つまり、"suit jacket"の最後のtが弱化するべきである、との指摘を受けた。 |
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