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.語源で単語を覚えるとは?

 

 それではその「語源で単語を覚える」とはどういうことでしょうか? ひとことでいえば、「英単語を細かいパーツに分解して、それぞれのパーツの意味を組み立ててその単語の意味を推測する」ということです。

 たとえば、日本語の漢字は、偏・旁(つくり)・冠など、色々なパーツで出来ており、それぞれのパーツには、なんらかの意味があります。たとえば、ウ冠のつく字は「家」・「宅」など「家」に関する意味、草冠のつく単語は「花」・「葉」など「植物」に関する意味を持ちます。

 英語では偏や旁や冠に相当するものは、その位置によって「接頭語」とか「接尾語」とか「語幹」と分類されます。単語の先頭につくものが「接頭語」、単語のお尻につくものが「接尾語」、それ以外のものが「語幹」です。どんなものがあるのか興味が湧いてきましたか?。基本的な「接頭語」「接尾語」「語幹」のサンプルを下に書いてみます。

 (表は横に見ます)

接頭語

AD, AB, AG=「@~へ、A強意」

CON=「@強意、A共に」

DE=「@下へ、A離れて、B否定」

E,EX=「外に」 exit, expose

IN, IM=「@中に、A不可能、B上に」

INTRO=「中に」 introduce

JECT=「投げる」 object, reject

OB=「~へ」 object

PRO,PRE=「前に」 preposition

RE=「@再び、A逆らって」 resist

SUB, SUP=「下に」 subway

SYM, SYN, SYS=「一緒に」

語幹

DICT=「言う」 predict

DUC, DUCT=「導く」 reduce

FACT, FEAT, FIT=「する」 defect

FER=「運ぶ」 infer, confer

GRAD, GRESS= 「歩く、段階」 gradual

LECT, LEG=「選ぶ」 intellect

PATHY=「感情」 sympathy

PEND=「ぶら下がる」 suspend

PORT=「運ぶ」 import, export

POSE=「置く」 impose

PRESS=「押す」 suppress

SIST=「立つ」 insist, consistent

SPECT=「見る」 respect

TRACT=「引く」 subtract, attract

接尾語

ER=「~する人・物(行為者)」

ISE,IZE=「〜にする」

ISM=「~主義」

LESS=「〜がない」

NESS=「〜であること」

TY, ITY=「〜であること」

TION=「〜である・すること」

 

 先ほど漢字の意味は偏や旁によって決まりましたが、英語でも同じことです。たとえば、object、reject、project、dejectという4つの単語の成り立ちを考えてみましょうか。まず、4つの単語に共通するjectというのは「投げる」という意味です。jectはジェット機の"jet"と形が似ていますよね。ジェット機は勢いよくガスを「噴射」して飛ぶものです。この"jet" もこのjectと関係のある単語なんですよ。

 このjectにobがついたobjectですが、obとは上の表にあるとおり「〜に向かって」という意味です。だから、objectは「〜に向かってob」「投げるject」、つまり投げる標的となるものなのだから「対象」という意味になることがよく判ります。projectは「前にpro」「投げるject」のですから、前に画像を投影する、つまり「映写」する。また抽象的に「プロジェクト、計画」という意味にもなります。rejectは相手の提案を「再びre」「投げるject」、つまり投げ返してしまうので「拒絶する」です。最後のdejectはあまり聞いたことがない単語かもしれませんが、"He was dejected to have failed the test."「彼は試験に落ちてしまって(   )していた」と文脈があれば判るでしょうか?。彼が「下にde」「投げject」つけられて落ちこんでいる様子を想像すれば、「落胆した」という意味だと理解できますね。

 他にもinjectionは「中にin」「投げject」られた「ものtion」なので「注射」、adjectiveは名詞「に向かってad」「投げject」添えられたものなので「形容詞」です。subjectは「主題」という意味もありますが、"The playwright was subjected to criticism about his latest work."「その劇作家は最新作に関しての批判に(   )されていた」という文脈では、批評の「下にsub」「投げられてject」しまったため、「さらされている、受けている」という意味にもなります。また、"a Japanese subject"といえば、日本という国家の「下にsub」「投げられject」て支配されている人なので、「国民」という意味にもなります。最後に、あなたのパソコンのCD−ROMドライブにejectボタンというのがあるでしょうか?。これは「外にe」「投げるject」ので押せば中に入っていたCD−ROMがぽんと「外に出てくる」はずです。

 まとめると以下の表のようになります。

 

単語

語源の意味

単語の意味

object

ob「〜に向かって」+ject「投げる」

「投げる標的」⇒対象

reject

re「再び」+ject「投げる」

「投げ返す」⇒拒絶する

project

pro「前に」+ject「投げる」

「前に映像を投影する」⇒映写する

「前に投げられたもの」⇒計画

deject

de「下に」+ject「投げる」

「下に投げつける」⇒落胆させる

injection

in「中に」+ject「投げる」+tion「もの」

「中に投げ入れられたもの」⇒注射

adjective

ad「〜に向かって」+ject「投げる」」

「名詞に投げ添える」⇒形容詞

subject

sub「下に」+ject「投げる」

「批評の下に投げられる」⇒さらされる

「下にいるもの」⇒国民

eject

e「外に」+ject「投げる」

「外に向かって投げる」⇒追い出す

 

 どうですか?。漢字が偏や旁にわけてその意味を探ることができたように、英単語も細かいパーツに分けてその語源を探れば、どうしてそのような意味になるのか簡単に想像出来たでしょう? これこそが、「語源で単語を覚える」ということです。

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